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澄んだ瞳の柔毛突起

「おら、おらで、ひとりいぐも」

今年?去年?芥川賞を受賞した若竹さんの小説ですが

やっと先日めぐり合って、読めました。


東北弁を交えながら綴られる、女性の「老い」

これが定型の「老い」からはみ出ることの快感。

小説を読むって面白いなぁ。


私は今39歳ですが

子供の頃の私から、途切れることなく地続きで39歳になりました。


子供の頃は

例えば小学生になったら違う自分に変身する気がしていたし

「大人」になったら「大人の自分」に変身するような気がしました。


こんなにダラダラと

まさかあの自分のままで大人になるとは想像できませんでした。

これまで一度も「変身」はしてないままです。


だからたまに子供にも言うんです。

「今のあなたのまま、大人になるのよ」

「だから今のあなたを育てていかないとね、自分でね」


39歳時点でそう思っているわけですが

幸いにして80歳まで生きられるとして

80歳の私は、きっと今の私のままなのでしょうね。

もっと言えば、スカートの短い中学生の私

給食が嫌いだった小学生の私のまま。


主人公の桃子さんは、晩年ひとりですが

多くの「自分」と一緒に暮らします。

孤独ですが、とても愉快です。


夫でも、子どもでも、愛でもなく

「自分」だけが最期、自分を救い得る。


うーわー

そう言われると、解毒。


「愛に自分の人生を売り渡さねばよかった」

夫に子どもに愛を注いだ桃子さんは晩年そう言うんですが

それは後悔しているわけではなくて、

長く続く生の中で、自問と分析を繰り返し

その結果を収穫して楽しんで生きている感じ。


人生が長ければ

そうだなぁ、自分が辿って来た道を考察する隙がもらえて

面白いだろうなぁ。


ともあれ。

「愛は勝つ」的な、愛さえあれば、みたいな

愛を抱いて生きなさい、とか

そんな呪縛に取り憑かれ過ぎちゃいけないな。


ここ数年の自問自答の結論を

一冊に束ねてもらったような

すっきり読み下せた一冊でした。


はぁ解毒。







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