よいさーよいさ

夕方、いねが台所へきて

「いのーちー、かけてっとー♪」

学校で歌っているのでしょう

鼻の穴を膨らまし、ファルセットで懸命に歌っているので


ああ、あの名曲だなぁと思って聞いていて。


「こころーとこーころがー!」

サビに入って盛り上がってきて

「あのーすばーらしいっ」

ああ、そろそろフィニッシュ

「あーいーをもうひとつーっ♪」


いねちゃん、大事なところが適当です。

最後にちゃんとコケさすとこが素晴らしい。


さて。

朝練中学生を峠の下の学校まで送ります。

毎朝。


峠の中腹から出るスクールバスは

朝練の時間にはまだないのです。


中学生の出発は、小学生より早いので

私は小学生を家で見送ることができません。


中学生を峠の下で下し

小学生の通学ルートを逆流して上り

途中で彼らと合流するのが、毎朝の楽しみ。


峠の途中、クルミの木の下で車を停め

クルミを拾っていると

遠くから聞こえてくるのは


「よいさー!よいさっ!!」

男児の張り上げた声。


それに続いて、負けじと張り上げた女児の声

「よいさー!よいさっ!!」


そして再び男児のよいさ。

続いて女児よいさ。


私も、ここにいるよ!の代わりに声を張り上げ

「よいさー!よいさっ!!」


よいさループのあまりに元気な声が

だんだん近づいてきて。

クルミの木の下で、合流。


この掛け声は

次男憧れの、長野のよさこいチームの掛け声です。


よいさじゃなくて

「アリジゴクで逢いましょうーっ!!!」

と歌いながら駆け下りてくる日もあり。


この歌は

昔私が好きだった(今も好きですが)ロックな人たちの

ブレイク前のとてもマニアックな曲です。


もちろん

この頃では「あの素晴らしい愛をもう一度」を

全力でハモリながら下ってくる日もあります。


もっちゃん曰く

「声を出しながら歩いた方が、早く着くっ!」

発見を収穫しながら生きていてうれしくなります。


この短くない山道を

我が物顔で毎朝定時に駆け下りる彼ら。

鹿も猿にも、きっと認識してもらっていることでしょう。


たくましいです。



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